tsuyojijiの「ガン日和」

胃がん発見からおよそ1年になります。これまでの経過や日々の様子を書き連ねます。

遠いスタートライン

 ゴールデンウィークに入りました。我が家では、神戸から娘親子が来てくれて、にぎやかな連休となりました。春休み中も来ていたので、この連休は来ないだろうと思っていたのですが、すこしでも孫と会わせてくれようと、娘夫婦が気遣ってくれているようです。明日は、家族そろってバーベキューに行くことになっています。そして、今日は我々夫婦の37回目の結婚記念日。

 最近、ふと気づくと「来年は、どうなっているんだろう?」と考えています。決して、悲観的になっているつもりはなく、ガンである状況を悲劇的に嘆いているつもりは毛頭ないのですが、自然と、そのような考えが頭をよぎります。

 今年はいろいろな場所の桜を見に行き、先日は弘前城公園の桜を見に行ってきました。「来年は、是非角館に行きたいね!」と家内と話しながら、『来年の桜の季節、俺はどうなっているんだろう?』と思ったり、『来年のゴールデンウィークに、また孫たちとBBQにいけるんだろうか』『来年の結婚記念日を迎えられるんだろうか』等々の思いが、頭に浮かんできます。

 おそらく他の病気ならば、これほど臆病になったり、ネガティブになったりすることはないのだろうと思います。やはりガンという病気を背負い込んでしまい、なおかつ、結構な進行型のガンで、なかなか手術の見通しも立たない状況にあることが、そうさせているように思います。

 ガンで悩んでいる人は、現在日本にどれほどいるのかはわかりませんが、かなりの人数なのだろうと思います。そして、その人たちが置かれている「ガンの状況」は、当然人によって全く異なります。私の状況は、決して「余命宣告」を受けているわけではなく、「抗がん剤治療」による快癒の可能性があることを言われてはいます。しかし、同時に現在使用中の「抗がん剤」が効かなくなってしまう危険性についても説明は受けています。ある意味、そのような中途半端な状況であることで、一層ナーバスになっているとも言えるのだろうと思います。

 ただ、病院等で出会った癌患者さんには、すでに手術が終わって、予後の治療として抗がん剤を受けたり、定期検査を受けたりしている人が多いように感じます。先日も、毎週火曜日の点滴外来で顔なじみになった方がいて、自分と同じような状況なのかと思いつつ言葉を交わしました。すると、その方はやはりすでに手術は済んでいるけれども、抗がん剤治療が必要なため、毎週通っているとのこと。「お互い大変ですね。」と言って、それぞれのベッドへ行き点滴を受けたのですが、私の中では、その方をうらやむ気持が強く残ったのは事実です。

 私が勝手に考えていることですが、「手術をする」ことが癌治療のスタートラインのような気がしていて、自分がなかなかそのスタートラインに立てないでいる期間が長くなり、この先もしばらくはこの状況が続くということが、自分の中の大きなストレスになっているのかもしれません。