tsuyojijiの「ガン日和」

胃がん発見からおよそ1年になります。これまでの経過や日々の様子を書き連ねます。

ガンのいやらしく・怖いいところ

 「ガン日和」らしい内容になってしまいますが、悪しからず。

 最近、このブログを読んでくれる人のためにも、「元気サイン」としての内容を心がけてきたつもりですが、ここのところ、なかなかそうはいかない状況で、『こういう時は書かないほうがいいのだろうか』とも思いました。しかし、そもそもこのブログを始めたきっかけは、「癌を抱え込んでしまった一人の患者として、その時々の状況とそれに伴う心理状態などを伝えることが大事なのでは」という数人の教え子たちからのアドバイスでした。それなので、あえて書き続けます。

 前回の続きになってしまいますが、体調不良が続いています。口やのどの痛みは、ステロイド剤の副作用による「カンジタ」とのこと。これは薬をもらって、三日目にしてかなり良くなってきました。

 しかし、昨日までの2日ほどはほとんど食べられませんでした。そして、食欲自体がかなり減退していることもさることながら、食べた後の胃のつかえから痛みがひどくなり、今日も通常の半分も食べると、痛くなり始めます。食べられないことで、この4日ほどで体重が一気に3キロも減りました。

 設楽先生に様子を伝えると「胃がんのせいかもしれませんし、みぞおちより上であれば食道カンジタの可能性も」とのこと。場所的には明らかに胃のあたりです。6月頃、まだ群大病院にお世話になっていた頃に多かった症状でもあります。それだけに、『また胃がんが暴れているのか』と思わずにいられません。

 こうなってくると、やはり「自分が進行型の胃がん」であることを、いやでも再認識せざるを得ません。一時期は、「自分が癌であることを忘れていられる」時期もあったわけですが、こうやって体調不良になると、まったく状況が変わってきます。

 今日、お休みをもらって家にいたのですが、少し体を動かそうと「衣替え」をしました。その中で、半そでシャツを畳み直しながら『来年、これを着ることはあるんだろうか』という思いがふと頭をかすめます。また、家内から、亡くなった義父の「大島紬」の反物で私の着物を作ることになったことを聞きました。出来上がるのは2月頃とのこと。『そんな頃まで、今のように普通に生活できているのかな』と不安になります。

 5月頃のこのブログに、孫の衣芙希のランドセルを注文した時のことを書きました。そのランドセルが出来上がるのが11月末で、『そのランドセルを自分は見られるのだろうか』と書きました。実際にはその後の治療効果もあって、このままいけば、ランドセルを見ることはできるようです。『では、来年の4月の入学式は?』という思いが過ります。

 

 こういったことが、癌という病気のいやらしく、怖いところのような気がします。

 「気持ちの奥底に、大きな不安が冷たいマグマのように滓になって渦巻いていて、ちょっとした体調の変化でその不安が噴き出し心の平安をかき乱し、大きな不安に苛まれる」のです樹木希林さんだけでなく、亡くなる直前までがんと闘いながら人生を全うした人の話はよく聞きます。それらの人たちもきっと、そんな様子ではなかったのかと思います。それだけに、その大きな不安につぶされることなく、がんと闘いながら、仕事を続けて頑張っている人たちは本当にすごいと思います。

 それに引き換え、ちょっと「食べられない、胃が痛い、体重が落ちて疲れた」という程度の理由で仕事を休み、家でゴロゴロしている自分の弱さと向き合わされるのも、がんのいやらしく、怖いところでもあります。

 そういえば、今日、ガン宣告から一ちょうど年が経ちました。